生物統計ヲタつみちゃん

統計など問わず語り

ICH E17を読む:1.2 背景

近年は「自分の国」だけでなく日米欧(+中国)の複数地域で医薬品の製造販売承認を申請することが多くなっています。

 

医薬品開発にはコストがかかるので、広く売り場を確保しないと利益が出ないんですよね。

 

その申請のためには原則「その地域の患者さんから収集したデータで医薬品のリスクベネフィットを評価した」臨床試験の結果(データセットも)を根拠として示す必要があります。そうなると、一番効率がよさそうに見えるのが国際共同治験ということになります。

 

この国際共同臨床治験ですが、普通に考えると「国・地域を層別因子とする治験」(これ自体微妙な問題をはらんでいますが)で、様々な背景を持った患者さんの集団で医薬品の有効性・安全性を、同時多発的に評価できるという点で、各国で治験を実施するより承認までの時間が短縮できる、というメリットがあります。

 

…ということなのですが、実際にやってみると、地域によって疾患の捉え方が違う、あるいは医療慣行が違うなどということもあり、簡単ではありません。場合によっては、各地域ごとに検証する仮説が違う、ということも。まあ、これらのことも考えた上で国際共同治験をうまくやれば、早く承認をもらえるかもよ、というメッセージなのでしょう。