生物統計ヲタつみちゃん

統計など問わず語り

ICH E17を読む:2.2.3 検証的臨床試験で使用する投与量の選択

申請者として恐れるのは、というか強引にでも避けたいのは「地域によって最適な用量・レジメンが異なること」なのですが、それは「そうあってほしい」と願うだけではだめなので、

  • 治療が想定される地域でのPK/PDデータ収集
  • 開発早期段階での国際共同治験

をICHは推奨しています。特に民族差の所在がよくわからない場合には(検証的な)国際共同治験に参加予定の地域でのPK試験の実施を推奨しています。また、早期試験での遺伝情報収集も、曝露に影響を及ぼす可能性が高いので推奨していますね。

 

PPKなどのモデルベースの統計解析手法で曝露に影響を及ぼす要因を特定することも有用としています。

 

…といったことを、規制当局と相談しながら進めるわけですが、用量設定は本当に難しいんですよね。失敗する開発プロジェクトはこの段階で問題を起こす、というより「振り返ればここが問題だった」になりやすい。

 

PKについて「民族差がよくわかっている」ケースはあまりなく、「まあばらつきの範囲内で概ね似てるよね」としてフェーズが進みます。実際PPK解析を実施しても「明確な地域差」がみられるケースはほとんどありません。

 

ただね~、それはいわゆる頻度論の回帰モデル的なアプローチ(PPKも)だからそうなっているだけで、ベイズ流の定量化を適用すればちょっと違った見方もできるのでは、と思います。そうなればもめごとも増えるとは思いますが…。